アレルギー性鼻炎・花粉症
漢方では、花粉やハウスダストなどのアレルゲンを「風邪(ふうじゃ)」と考えます。 健康な人では、衛気と言う「気(気功などで言う気です)」が、体表部や外界からの邪の侵入を防いでいます。 アレルギー性鼻炎や花粉症の方は、何らかの原因でこの「衛気(えき)」が不足するために、通常では体内に侵入して悪さをしないような邪でも、 侵入すると、鼻水や鼻づまり・クシャミなどが出てきてしまうのです。
漢方では、根本的な原因を調べます
アレルギー性鼻炎は、季節性の花粉症のようなものも有れば、ハウスダストなどによる通年性のアレルギー性鼻炎もあります。 前者は寒飲内伏が多く、夏場に冷たい物の飲食が多い事で寒飲が体内に発生し、これが春の花粉などの刺激になって「鼻水」となって出てきます。 鼻水やクシャミは、漢方では「寒症状」と言い、冷える事で起こるのですが、春の陽気や体質によっては、これらが「熱化」し、目の痒みや充血・鼻づまりなどの「熱症状」に変わることも少なくありません。しかし、このように方でも、太陽が沈んでいる間は、外界の陽気が少なくなるので、鼻水やクシャミなどの症状に戻ります。 漢方では、水分代謝を「脾」「肺」「腎」の3つが連携し、この連携を「肝」がコントロールしていると考えます。 ですので、これらのどの部分がどのように悪いのか?によって、処方も異なってきます。
よく、花粉症に「小青竜湯」が使われますが、これはあくまで「寒飲」を除くためのお薬ですので、根本的に治している訳では有りません。また、目の痒みや鼻づまりなどの「熱症状」が出ている人が服用すれば、逆効果になります。 漢方薬は、効能・効果で服用するお薬ではなく、その人の体質や病気の原因を考慮して服用する薬です。 安易な服用は、却って病気を悪くしますので、素人判断は良くありませんのでご注意下さい。 特に、通年性のアレルギー性鼻炎は、体が虚しているために起こっていることが多く、「小青竜湯」や「葛根湯加川キュウ辛夷」などの処方のみを連用されると、ますます体が虚していきます。服用されるときは、漢方を熟知した専門家にご相談ください。
花粉症の方によく見られる悪い習慣
多飲の習慣
口渇とは関係なく、水分を多く摂取すると言う習慣です。 特に多いのが、冬場でも冷たい飲み物を飲むという方です。 よく、温かい物なら良いのか?と尋ねられますが、冷たくても温かくても、過剰に摂取する水分はよくありません。
薄着の習慣
薄着を虚弱な体質やアレルギーの体質を改善すると言う、誤った健康法を実践されているケースです。 これを行うと、体は常に寒さや乾燥にさらされて、体表部を外界の変化から守っている「衛気」と言う「気」を消耗させてしまいます。 この「衛気」が不足するのも、花粉症の原因になっています。
睡眠不足
睡眠が不足する事で、「陰(体に必要な水分や栄養物質など)」の消耗が多くなり、体の「陰」と「陽」のバランスが崩れて内熱が発生し易くなります。 起床時に目や鼻の乾燥、痒みといった症状が出てきます。 睡眠不足が習慣的に続くと、「陰」だけでなく「陽」である「気」も不足してきますので、「衛気」や「肺気」にも影響し、花粉症の症状がひどくなります。
アレルギー性鼻炎・花粉症の治療でよく使われる漢方薬
- 小青竜湯
- 麻黄附子細辛湯
- 苓桂朮甘湯
- 六君子湯
- 補中益気湯
- 葛根湯加川キュウ辛夷
- 附子理中湯
実際の治療には、体質によりこれらの漢方薬や、他の漢方薬を合わせて使用します。 当店で取扱をいたしております漢方薬は全て医薬品です
漢方薬は自己判断で服用しないようにしましょう。 服用の際には、必ず信頼のおける漢方の専門家へ御相談ください。 安全な漢方薬でも、使い方次第では危険な薬になってしまいます。