自律神経失調症
自律神経失調症という表現はとても曖昧です。 患者さんが「めまい」や「動悸」「手足のしびれ」などのいろいろな症状を訴えられるにも関わらず、検査をしても全く異状が認められない時にこのような病名を宣告されます。 と言っても、これは病名ではありません。 本来は症状に応じて「うつ病」「不安神経症」「パニック障害」・・・などいろいろな病名がつくのでしょう。 自律神経失調症はこれらの総称です。
この疾患で最も辛いことは、「検査で異状が認められない」と言う点です。 「ここが悪い」と言って貰えれば、患者さんはどれだけホッとするでしょうか・・・。 「どこも悪いところは有りません」とか「気のせいでしょう」などと言われると余計に心配になってきますし、周りの人からは「仮病」とか「大袈裟」だとか思われたり言われたり・・・。 周りに自分の辛さが理解して貰えないと言うのが、ストレスとなり病状をますます悪化させる要因にもなるのです。
漢方での捉え方
漢方では、これらは「肝」や「心」と言う場所に問題があると考えます。 漢方で言う「肝」や「心」は、西洋医学で言う肝臓や心臓を指しているのでは有りません。
「肝」に異状を来せば「肝は筋を主る」ですから、筋肉がひきつったり、震えたりします。首筋がつまって眼の奥が痛んだりするのもこれが原因です。 また、「心」に異状を来せば「心は神明を主る」ですから、精神状態が不安定になったり、異常な行動を起こしたりします。
このように、漢方では2000年以上も前からこういう病態の原因を把握していました。 このころの中国の書物に「黄帝内経」と言う古典があるのですが、その中で既に病気の原因は生活の乱れなどを指摘してます。 こんな大昔で既に生活の乱れによって病気が発症すると言うことですから、我々の今の生活を考えれば、病気にならない方が不思議なぐらいなのです。
自律神経失調症は、身体のバランスが崩れているだけ
そのバランスがどのように崩れているのかを調べ、足りないものは補い、余る物は瀉すと言う考え方で処方を決めるのが漢方医学です。 しかし、薬にばかり頼っていても絶対に治りません。自分自身の生活リズムを整え、自然に逆らわない生活に心がけましょう。 特に仕事などで昼夜逆転の生活をしている方の場合、仕事の時間帯または仕事そのものを変えないとなかなか治りません。
自律神経失調症の治療でよく使われる漢方薬
- 逍遙散
- 加味逍遙散
- 加味帰脾湯
- 加味温胆湯
- 知柏地黄丸
- 柴胡加竜骨牡蠣湯
- 桂枝加竜骨牡蠣湯
実際の治療には、体質によりこれらの漢方薬や、他の漢方薬を合わせて使用します。 当店で取扱をいたしております漢方薬は全て医薬品です
漢方薬は自己判断で服用しないようにしましょう。 服用の際には、必ず信頼のおける漢方の専門家へ御相談ください。 安全な漢方薬でも、使い方次第では危険な薬になってしまいます。