メタボ(メタボリックシンドローム)に良いと言われ、「ナイシトール」・「コッコアポ」などの漢方製剤が多くの薬局薬店で売られているが、本当に良いのだろうか?

これらの正式な漢方処方名は「防風通聖散」と言います。漢方医学上での効能は「清熱解毒・温解表・瀉下・利水」になります。
と言われても、漢方を熟知していない方なら、何の事やら・・・って言う感じでしょう。

そもそも防風通聖散は、もともと脾胃(消化器系)は弱くない方が、味の濃厚な食べ物を多く食べたり、暴飲暴食と言う良くない食生活が続き「胃熱」を生じた人に使う処方です。「胃熱」が生じると食欲が亢進し、ますます食べ過ぎになるためこれらの処方を使って「胃熱」を除きます。「胃熱」を除けば、胃の過亢進も収まり元通りの食欲になるというものです。油物や味の濃い物を食べたり、暴飲暴食をすると、漢方では「痰湿」が生じると考えます。この「痰湿」が現代で言われる「コレステロール」も含まれるため、「よく食べる」→「肥満」から、この防風通聖散が「肥満」に効くと言われているのです。

ここで問題があります。「胃熱」が生じていれば、「便秘」になると漢方では考えます。ですから、「ナイシトール」や「コッコアポ」などの、効能効果のところに「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの・・」と書かれているはずです。これはあくまで「胃熱」があるだけで、他の臓腑の虚弱はないと言うのが前提です。ですから、
防風通聖散を服用されるとは、「便秘がち」と言うのが必須条件になります。

さて、現在これらの「防風通聖散製剤」を服用されてい方で、「私は日頃から軟便・下痢気味」と言う方は少なくないと思います。この方は、
「防風通聖散製剤」を服用する事で、下痢になっておられませんか? しかも、その下痢を見て「トイレで下痢する度に脂肪が排出されている!」なんて、変な誤解をしている人やお薬を買った薬局薬店から「体内の毒が出ているから下痢をした方が良い」とか「それは好転反応だから大丈夫」なんて言われて、まともに信じている人も少なくないと思うのですが・・・。

心当たりの有る方は、直ぐに本当に漢方の知識がある医療機関や薬局薬店にご相談ください。


日頃から「軟便・下痢」気味で脂肪の多い方には、「脾虚体質」の方が少なくありません。「脾虚」と言うのは、漢方独特の考え方で、消化器のエネルギー不足のために、正常な働きをしないために、痰湿が生じやすくなっています。脾虚の方が、防風通聖散のみを服用されますと、脾に負担を強いることになり「脾虚」が悪化します。防風通聖散にも「脾」を守る「健脾薬」が含まれますが、これだけでは健脾できないので他に健脾薬を加えるか、処方自体を変更する必要があります。
鏡の前で舌を出して観察してください。舌の表面に舌苔がついていないか、ほんの少ししかついていない方は、素人判断せずに必ず漢方を熟知した専門家にご相談ください。


漢方薬は、体質で処方を選択しますので、西洋医学的な効能効果で自己判断せず、漢方を熟知した専門家にかならず相談するようにしましょう。

        


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